これまで20世紀型の経営環境は、顧客からの明確な要請がある時代でした。例えば、顧客から企業に対して、「こういうものを作ってほしい」「ここを改良してほしい」「こういうサービスが欲しい」という、わかりやすい声やメッセージがありました。
企業の方も、フォーカスグループへの接触、エコーシステムからの情報のマイニングをすることで商品やサービスの設計に活かし、それなりにヒットを飛ばすことの出来る時代でした。
つまり、顧客からの要請は明確で、従来の自社での取り組み方法の効率化にのみ注力し、それを効性の範囲内で対応する事で解決してくることができたのです。言い換えれば、今まではプラットフォームを改善するだけで、顧客の養成に対応することができました。
しかし、時代は変わり今や“顧客が表現力を持たない”時代になってきました。例えば、顧客は漠然と、「自分たちには何か欠けているような気がする」とは感じているが、それが一体何であるのかを顧客自身で突き止めることができない。現状に特に不満は無いのだが、なんとなく楽しくないという状態です。
また、企業側も顧客ニーズを掘ってみても、ヒットに結びつくようなものが簡単には創造できなくなってきたのです。今までの“不満足の改善の時代”は終わりを告げ、いよいよ自分たちは何を提案すべきかを決めていく時代になってきたのです。
そのためには、単純なマーケット調査レベルではなく、“顧客とより深いリレーションの中から、一緒に解答を見出す”ことが必要となってきます。これからの時代に、新たな価値を創出するのは、こうした“インタラクティブな場でのキャッチボール”なのです。
このような事業環境においては、もはや今までのように中枢にいるスタッフが意思決定をするのでは顧客のニーズに対応することは難しくなっています。
これからは“顧客と直接接している現場が事業を育成”していくしか、時代と顧客のニーズに対応していく方法はないのです。
このように、顧客と自分との間の世界を、あたかも会社として捉える現場の会社化が進んでいく中で、“現場で事業経営の出来うる人材”、“従来のオペレーションの枠を飛び越えた人材”が求められるようになってきています。
つまり、現場で内外の環境を読み取り、人を組織化し、成果を出すまでやりぬくスキルと意思を合わせ持ったリーダーが、ビジネスの現場において必要とされているのです。
市場が変化していく中で、このようなリーダーが必要とされていますが、将来への方向性・戦略を創り、人を束ね会社を変革する能力は、今までのような職階別の座学の研修では修得および定着は望めません。
これらの能力修得に当たっては、学ぶということだけではなく、実際に使い、業務として実行しアウトプットを出していく中で、経験をしていく必要があります。このような機会の創出は頻繁にできるものではないため、優秀な投資価値のある人材を選抜し、重点的に育成を行っていかなければ市場の変化に対応していくことはできません。
人材育成は当然業績を向上させるために行うものですが、今までどおり個々人にのみフォーカスをあてていたのでは、その場限りのものになりがちで、現場に浸透させることはできません。重点的に育成された人材の能力を定着させていくには、学習活動を社内文化として定着させていく必要があります。
それには、個人の育成と組織の育成を連動させ、選抜人材の能力を高めるだけでなく、組織としての活力も高め、ビジネスリーダーが活躍できる環境を整えていく必要があるのです。